12人のカウンセラーが語る12の物語(1)

 このブログの「単一原理段階のカウンセラー」という記事を読んでくださった臨床心理士の先生から、この本を読んでみるといいよ、と言っていただいて、杉原保史さんと高石恭子さんの著作『12人のカウンセラーが語る12の物語』(ミネルヴァ書房, 2010)を貸していただきました。

 

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 この本は、12人のカウンセラーが書いたフィクションの事例物語を収めたものです。事例報告や事例研究とは異なります。実際に活躍しているカウンセラーが、このような事例物語を創作するという試みは、ほとんど前例のないものでした。しかし、素晴らしい試みであったと、この本をすべて読み終えた私は思います。

 

 この本を読み終えた時に、思うことがたくさんありました。それは、これらの事例物語には、少なからず著者のカウンセラーの方々の人生観、ひいては魂のようなものが、反映されていたからだと思います。ひとつひとつの物語が、私の心に迫ってくるような感覚がして、時に重く、時に暖かく、私の心はざわめきました。

 

 物語たちが私の心に強く迫ってきた理由のひとつに、12の物語すべてに私と同じ年代のクライエントが登場していることが挙げられると思います。きっと、どこかで共感し、共に悩むような心の動きが生じたのでしょう。

 

 私のように、青年期の真ん中で揺れている方々に、読んでいただきたい本だと感じました。