2015-12-20から1日間の記事一覧

12人のカウンセラーが語る12の物語(6)

事例小説 フロイトは、初期の著作である『ヒステリー研究』(1895)の中で次のように述べている。 私は、これまでずっと精神療法だけに携わってきたわけではない。他の精神病理学者と同じく、私も局所診断や電気予後診断学の教育を受けてきた。にもかかわらず…

12人のカウンセラーが語る12の物語(5)

いのちのバトン 大学の学生相談室では、基本的にひとりの学生に対して同じカウンセラーが継続してカウンセリングを行うが、カウンセラーの人事移動によって担当を継続できなくなることがある。半年間の休学の末に今年度二度目の四年生となった彼女も、担当の…

12人のカウンセラーが語る12の物語(4)

デクノボウの住みか 幼い頃から、母親に育児放棄され、学校にも行かなかったマリコ。彼女は、幻覚や幻聴などを日常的に体験し、錯乱状態で病院に運ばれてきた。彼女のカウンセリングを、伊藤さんが担当することになった。 マリコにとって、入院は人生で初め…

12人のカウンセラーが語る12の物語(3)

窓 「先生は私を見捨てました」 大学に入って、勉強に専念するあまり、睡眠をほとんどとらず、過密なスケジュールを組んだ彼。ある日、同級生に勉強ができなくなる魔法をかけられたと彼は言った。母親に病院に連れてこられて混乱している彼を、山本さんは辛…